原爆投下命令80年で追悼行事=元米大統領滞在の地―独ポツダム 2025年07月26日 06時17分

原爆犠牲者の追悼行事で慰霊碑に献花する参加者ら=25日、ドイツ東部ポツダム
原爆犠牲者の追悼行事で慰霊碑に献花する参加者ら=25日、ドイツ東部ポツダム

 【ポツダム(ドイツ東部)時事】広島、長崎への米軍による原爆投下命令が出てから80年となる25日、トルーマン米大統領(当時)が投下命令時に滞在していたドイツ東部ポツダムの邸宅前で、原爆犠牲者の追悼行事が行われた。地元の人々が作った千羽鶴が慰霊碑にささげられ、参加者は献花して黙とうした。
 主催団体のウーウェ・フレーリヒ代表(61)は「われわれは核軍縮への明確な決意を抱いている」と訴えた。16歳の時に広島で被爆後に渡独し、慰霊碑の建立に関わった故外林秀人さんの被爆記が、ドイツ語で読み上げられた。
 ポツダムには第2次大戦末期の1945年7月、米英ソの首脳が一堂に会し、既に降伏していたドイツの戦後処理や、対日戦争の対応を協議した。トルーマン氏は滞在中に原爆の実験成功を伝えられ、日本への投下を決めたとされる。
 邸宅前は「ヒロシマ・ナガサキ広場」と名付けられ、15年前に慰霊碑が建立されて以来、地元でも原爆投下への関心が高まっている。広場に近い小中高一貫の私立マリーエン校は今月、中高生を対象に原爆投下について学ぶ特別実習を行った。参加したゾフィー・フォンハイエクさん(17)は「核爆弾は誰の利益にもならない」と述べ、核の脅威が高まっている国際情勢を心配した。
 慰霊碑建立に携わったベルリン在住の日本人ジャーナリスト福本栄雄さん(68)は「人々が核問題を考えるきっかけになっている」と語った。 

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トルーマン米大統領(当時)が滞在した邸宅前に建立された原爆犠牲者の慰霊碑に向かって黙とうする人々=25日、ドイツ東部ポツダム
トルーマン米大統領(当時)が滞在した邸宅前に建立された原爆犠牲者の慰霊碑に向かって黙とうする人々=25日、ドイツ東部ポツダム
原爆犠牲者にささげる折り鶴の作り方をドイツの子供たちに教える福本栄雄さん(中央奥)=18日、独東部ポツダム
原爆犠牲者にささげる折り鶴の作り方をドイツの子供たちに教える福本栄雄さん(中央奥)=18日、独東部ポツダム

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