イスラエル、強硬姿勢堅持=「パレスチナ承認」圧力に反発 2025年08月03日 14時26分

【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスの壊滅を掲げ、苛烈な軍事作戦を続けるイスラエルに対し、国際社会の外交圧力が一段と強まっている。先進7カ国(G7)の英仏、カナダはイスラエルに自制を促し停戦につなげるべく、パレスチナを国家承認する方針を表明した。ただ、イスラエルは強硬姿勢を堅持しており、事態収束につながる見通しは立っていない。
◇「ガザ併合」示唆
ガザでは軍事作戦が始まった2023年10月以降、戦火や食料不足の影響で6万人以上が死亡した。フランスのマクロン大統領は7月24日、「ガザでの戦争をやめ、市民を救う」として、G7で初めてパレスチナの国家承認を発表。英国、カナダが追随した。イスラエルのネタニヤフ政権が正統性を疑問視するパレスチナ自治政府が将来の担い手となる国家の樹立への支持を表明し、イスラエルをけん制する狙いだ。
これに対し、ネタニヤフ首相は「パレスチナ国家はイスラエルを滅ぼす出発点になる」と激しく反発。「国際法違反」と非難を浴びるガザ住民の域外移住や「ガザ併合」も検討。パレスチナ国家樹立に逆行する動きを進めている。
◇米の支持、世論が背景
強硬姿勢の背景には、米国の支えがある。トランプ米大統領は、仏などの国家承認は「重要ではない」と一蹴。ガザでの戦闘終結を求めつつもネタニヤフ政権を一貫して擁護し、米国務省は7月31日、自治政府高官に制裁を科した。
世論の硬化という事情もある。イスラエル側で約1200人が殺害されたハマスによる23年10月の奇襲攻撃の衝撃で強硬論が社会に浸透。国民の過半数がガザ住民の域外移住を望んでいるとの調査結果もある。また、連立政権の命運を握る極右政党の関心を引くため、ネタニヤフ氏が戦闘を引き延ばしているとも指摘される。
◇ハマスは武装闘争固執
一方、国際社会は民生を軽視して武装闘争を続けるハマスへの圧力も強化。日本を含む17カ国と欧州連合(EU)、アラブ連盟は7月29日、ニューヨークで開かれた会合でハマスを批判し、ガザ統治放棄と武装解除を求めた。
しかし、ハマスは31日の声明で、イスラエルの占領が終わるまで「抵抗運動がやむことはない」と強調。武装闘争は組織が求心力を保つよりどころであり、圧力には屈しない構えだ。