高まる緊張に懸念=核監視の重要性強調―CTBTO事務局長 2025年08月05日 18時33分

包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)準備委員会のフロイド事務局長は5日、東京都内の日本記者クラブで会見し、核使用をちらつかせるロシアや、イラン核施設への軍事攻撃などを念頭に「地政学的な緊張の高まりを示す懸念すべき兆候がある」と指摘した。その上で、さらに情勢が悪化し、核保有国が核実験や核使用に踏み切れば、世界は後戻りできなくなるだろうと警鐘を鳴らした。
フロイド氏は一方で、「広島・長崎を最後に、核兵器が80年間使用されていない事実は、人類の平和への決意を表している」と強調。「今こそ、核活動を監視するCTBTOの存在が重要だ」と述べ、経済・技術面で支援する日本に謝意を示した。
CTBTOは、包括的核実験禁止条約(CTBT)に基づく国際機関。条約は未発効だが、核実験監視のため世界300カ所以上で地震や放射性物質の探知などを行う施設を運用している。日本では長野市や千葉県いすみ市など10カ所に施設がある。