「ウクライナ支援に謝意を」=ナショナルデーで館長―大阪・関西万博 2025年08月04日 14時16分

大阪・関西万博で5日、ウクライナの「ナショナルデー」行事が行われる。ウクライナ館の館長を務めるのはインナ・イリナさん(45)。ナショナルデーには、ロシアの侵攻を受けるウクライナを支援してくれる国に「感謝の気持ちを表したい」と語る。
イリナさんのスマートフォンには、ロシア軍のミサイル発射やドローン攻撃を知らせる警告が絶えず届く。「いつも自分の国に思いをつないでいる」。ウクライナに残した両親らを案じながら、日本で戦争の惨状を伝え続ける。
高校時代に日本の文化に魅了され、首都キーウの大学で日本語を学んだ。2019年7月、在日ウクライナ大使館に外交官として着任した。
ウクライナ文化の発信にいそしんでいた22年2月、ロシアによる侵攻が始まった。「すぐに終わるだろう」との予想に反し、戦闘は日を追うごとに激化。日本中から大使館に届けられる寄付金・支援物資の整理に追われた。
24年12月に離任し、いったん帰国した。ウクライナにとどまりたい気持ちもあったが、2人の子供の安全を考え、日本に戻った。「世界にウクライナの現状を伝えたい」。その思いで、万博のウクライナ館での仕事に手を挙げた。
万博を通し、ロシアの行為が決して許されないものだと世界に訴える一方、侵攻に屈しないウクライナ国民の精神や国の尊厳を伝えたいと話す。「民主主義国が力を合わせ、きちんとした世界秩序に変えていけたらいい」と力を込めた。