「米ロ関係改善」注目を画策か=トランプ氏との会談でプーチン氏 2025年08月09日 18時31分

(左から)ウクライナのゼレンスキー大統領、トランプ米大統領、ロシアのプーチン大統領(AFP時事)
(左から)ウクライナのゼレンスキー大統領、トランプ米大統領、ロシアのプーチン大統領(AFP時事)

 トランプ米大統領は8日、米アラスカ州で15日に米ロ首脳会談を行うと明らかにする一方、ウクライナのゼレンスキー大統領を含む3者会談には触れなかった。ロシアのプーチン大統領は8日までにウクライナとの停戦に応じなければ制裁を強化するとのトランプ氏の「最後通告」を当面やり過ごし、会談ではウクライナ侵攻ではなく、米ロ関係改善に注目が集まるよう画策しているもようだ。
 国営ロシア通信によると、旧ソ連・ロシア最高指導者の訪米は1959年のフルシチョフ首相に始まり、プーチン氏も何回か訪れているが、アラスカ入りは歴代で初めて。
 プーチン政権は今年2月、サウジアラビアで始動させた米ロ高官協議で、北極圏のエネルギー協力を提案した。アラスカは19世紀、帝政時代に米国に売却した因縁の地だが、ロシアの北極圏と並べて米ロ協力の象徴としようとしている可能性もある。
 ゼレンスキー氏との会談について、プーチン氏は7日に「一定の条件を整える必要があるが、残念ながらそれには程遠い状況だ」と難色を示した。トランプ氏は米ロ首脳会談の実現に当たってウクライナが合流する「必要はない」と呼応し、主導権を握りたいプーチン氏の要求を受け入れた。
 心中穏やかでないのは、3者会談の形でプーチン氏に圧力をかけようとしていたゼレンスキー氏だ。仮に「ウクライナ外し」となれば、いくら事前協議でトランプ氏と調整しても、頭越しでロシアに大幅な譲歩を示すのではないかという懸念が拭えない。
 停戦や和平を巡って最大の焦点となる領土問題は、議会承認や憲法改正が絡み、ゼレンスキー氏の一存で決められないとされる。8日を最後通告の期限として発表が見込まれた対ロ制裁の強化も、会談を控えるトランプ氏は言及しなかった。戦場ではロシア軍の猛攻が続いており、ウクライナは外交でも不利になることを警戒している。 

海外経済ニュース