対ロ会談前、米欧ウクライナ協議=アラスカにゼレンスキー氏招待か 2025年08月10日 14時35分

ウクライナのゼレンスキー大統領=7月24日、キーウ(ウクライナ大統領府提供)(AFP時事)
ウクライナのゼレンスキー大統領=7月24日、キーウ(ウクライナ大統領府提供)(AFP時事)

 米アラスカ州で15日に予定される米ロ首脳会談に先立ち、ロシアの侵攻を受けるウクライナと米欧の高官が9日、ロンドン近郊で対応を協議した。ウクライナのゼレンスキー大統領はビデオ演説で「協議は建設的だった。和平の道はウクライナ抜きでは決められない」と述べ、頭越しに交渉を進めることのないようけん制した。米メディアは、ゼレンスキー氏のアラスカ招待が検討されていると報じた。
 9日の協議は、ラミー英外相とバンス米副大統領が中心となり、ウクライナはイェルマーク大統領府長官と対ロ直接協議の代表団長、ウメロフ国家安全保障・国防会議書記が参加した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、欧州とウクライナは、ロシアが示したとされる和平案の「対案」を提示。領土について議論できるのは、ロシアが停戦に応じてからだと米国にくぎを刺した。
 米紙ニューヨーク・タイムズによると、協議関係筋は「(1945年2月に第2次大戦終了後のドイツの分割統治などが話し合われた)ヤルタ会談の時代はとうの昔に過ぎ去った」と述べた。欧州がトランプ政権に「ウクライナ外し」の形で交渉が行われないよう働き掛けた。
 一方、米NBCニュースは9日、米ロ首脳会談に合わせ、トランプ政権がゼレンスキー氏をアラスカに招待する方向で検討していると伝えた。最終決定していないものの、米高官は「誰もが(訪問の)実現を期待している」と語ったという。
 WSJは先に、ロシアのプーチン大統領が6日に米国のウィトコフ中東担当特使と会談した際、ウクライナ軍の東部ドンバス地方からの撤退を和平の条件として提案したと報じた。ゼレンスキー氏は9日、「占領者(ロシア)に領土は渡さない」と強調し、譲歩は容易でないという考えを示している。(時事)。 

海外経済ニュース