米、パレスチナにビザ発給拒否=「独立宣言」阻止か―ジュネーブで総会開催の前例 2025年08月30日 17時23分

パレスチナ自治政府のアッバス議長=2024年9月、ニューヨーク(EPA時事)
パレスチナ自治政府のアッバス議長=2024年9月、ニューヨーク(EPA時事)

 【ニューヨーク時事】米国務省は29日、ニューヨークで9月に開かれる国連総会にパレスチナ自治政府のアッバス議長らが出席するためのビザ(査証)の発給を拒否すると発表した。国連総会に合わせ、パレスチナを国家承認する動きが広がる中、アッバス氏による「独立宣言」を阻止することが狙いとみられる。国連総会に出席する予定の高官へのビザ発給を米国が拒否した過去の事例では、総会の開催地が変更されたこともあり、混乱が広がりそうだ。
 米国と国連が1947年に結んだ「国連本部協定」は、ニューヨークにある国連本部を目的地とする各国の代表らについて「移動に障害を加えてはならない。ビザが必要な場合は迅速に発給されなければならない」と明記。米国と関係が悪化している国であっても、発給するよう義務付けている。ドゥジャリク国連事務総長報道官は29日、米国に対し「国連本部協定を読むべきだ」と述べ、国務省と協議する考えを示した。
 米国はパレスチナが「テロを扇動している」と主張し、安全保障上の観点から発給の拒否を決めたと説明した。過去には、米国がロシアやイランなどの代表に対し、ビザ発給を制限した例がある。88年にはパレスチナ解放機構(PLO)のアラファト議長(当時)への発給を拒否し、同年の総会は一部がジュネーブで開かれた。
 米ニュースサイト「アクシオス」は関係筋の話として、9月23日に始まる国連総会の一般討論演説でアッバス氏が「パレスチナの独立」を宣言することを阻むことがトランプ政権の目的だと報道。国連総会に合わせ、英仏カナダなどがパレスチナ国家の承認を行う方針を表明していることもトランプ政権の判断に影響したとみられる。
 パレスチナ通信によると、パレスチナ自治政府は声明を発表し、「国際法および国連本部協定に明白に違反する」として、発給拒否の撤回を求めた。 

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