対米80兆円投融資が決着=認識食い違いも日本の説明通りに 2025年09月05日 20時02分

【ワシントン時事】日米両政府は4日、5500億ドル(約82兆円)の投融資に関する覚書に署名した。「対米投資」を巡っては、トランプ大統領がたびたび「われわれの金だ」などと発言。日米間で合意内容に対する認識の食い違いが浮き彫りとなっていたが、最終的には、7月の合意時に日本側が説明した通りの内容で決着した。
「7月の合意から何ら変わっていない」。赤沢亮正経済再生担当相は4日、こう強調した。
日本は米国との合意後、一貫して政府系金融機関を通じた投融資だと説明し続けた。ただ、米国は大統領の裁量で使える資金だと主張。ラトニック商務長官も直近まで「トランプ大統領の金だ」との認識を示していた。
ただ、覚書によると、半導体や医薬品、重要鉱物、人工知能(AI)などの分野で、トランプ氏が選ぶ米国内の案件に投資。必要な資金は、国際協力銀行(JBIC)による出融資や日本貿易保険が保証する邦銀の融資によって賄われ、米側も土地などを現物出資する。投資はトランプ氏の任期中の2029年1月19日までに随時実施される。
トランプ氏は「米国が利益の90%を受け取る」などと指摘。投資に伴う利益の配分でも双方の主張に隔たりが見られた。だが、JBICなどの融資が未返済の期間は、日米で利益を半分ずつ分け合うこととなった。利子を含めて完済した後は米国が9割を受け取る仕組みとした。
交渉関係者は、米国内での投資に伴い、日本製品の販売拡大や経済安全保障の強化などにつながると説明。赤沢氏は「日米の相互利益の促進、経済安保の確保、わが国の経済成長につながる」と、日本のメリットを訴えた。