岸田首相、米大統領選後に備え=強固な同盟を誇示―日米首脳会談 2024年04月10日 15時09分
【ワシントン時事】岸田文雄首相は10日(日本時間同日深夜)のバイデン米大統領との会談で、揺るぎない日米同盟を改めて確認する。安全保障、経済、人的交流など幅広い分野での連携強化を米国内や国際社会にアピールし、11月の米大統領選後に備える。
日本の首相による国賓待遇での訪米は2015年の安倍晋三氏以来、9年ぶり。昨年11月にバイデン氏から直接招待を受けたのがきっかけだが、実際は水面下で日本側が働き掛けてきた。外務省関係者は、数年前から「いつ国賓で行ってもらうか考えながら調整していた」と明かした。
満を持して臨んだ首相は、ホワイトハウスでの歓迎行事から始まって首脳会談、夜の大統領夫妻主催の公式夕食会まで、バイデン氏から手厚い歓待を受ける。両首脳の「固い絆」(政府関係者)を前面に押し出し、蜜月ぶりを内外に誇示する。
厚遇で迎えるバイデン氏に対し、首相は自らが主導した日本の防衛力強化が、日米の安全保障協力に貢献してきたとの自負がある。岸田政権は国家安全保障戦略など3文書を改定し、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有に踏み切った。27年度までの5年間の防衛費の総額を約43兆円とし、防衛費の国内総生産(GDP)比2%への増額も決定。装備品輸出ルールも大幅に緩和した。
インド太平洋地域で覇権主義的な動きを強める中国への対応や、ロシアの侵攻を受けるウクライナ支援の継続など、日米が手を組む場面は多岐にわたり、首相は周囲に「日本が米国をサポートする時代になった」と語る。今回の会談では、日米の関係を国際秩序を維持・強化する「グローバル・パートナー」と定義する。
首相が気をもむのは、バイデン氏とトランプ前大統領が激突する大統領選の行方だ。同盟を軽視するトランプ氏が再登板すれば民主主義や国際秩序が揺らぎ、日本に対し防衛負担や経済面で圧力を強めかねない。
首相はどのような選挙結果になっても、日米関係の重要性が強固で不変であることを両国の共通認識にしたい考え。外務省幹部は「信頼できるパートナーとして日本の貢献を米国に説明したい」と意気込む一方、水面下では「トランプ勝利」をにらんだ準備も進めているとみられる。