教科書見直し勧告=UNRWA中立性巡る独立調査団が最終報告書 2024年04月23日 07時42分

22日、ニューヨークの国連本部で、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の中立性に関する最終報告書について記者会見するフランスのコロナ前外相
22日、ニューヨークの国連本部で、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の中立性に関する最終報告書について記者会見するフランスのコロナ前外相

 【ニューヨーク時事】イスラム組織ハマスとの関係が指摘された国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の中立性について評価を進めていた独立調査団は22日、最終報告書を公表した。その中で、中立性を確保する仕組みは多く導入されているものの「依然として問題がある」と指摘。現場で使用する教科書の見直しや、資金拠出国との意思疎通強化など50項目の改善策を勧告した。
 報告書によれば、UNRWAはパレスチナ自治区ガザなどの706カ所の学校でパレスチナ人の子ども50万人の教育を担うが、イスラエルの国名が記載されていない地図を使用するなど教科書の記述の約4%に偏った表現があった。また、職員組合が組織運営に支障を来しているとして改革を訴えた。
 一方、UNRWAは3万2000人超の職員のうち99.2%が現地雇用だが、採用に当たっては犯罪歴などを確認。その上、毎年イスラエルを含む関係国に職員名簿を提出していると強調。イスラエルは3月、「テロ組織の戦闘員450人以上」が雇用されていると主張したが、報告書は「イスラエルから名簿に関する懸念は伝えられたことはなく、(戦闘員だとの)証拠も提供されていない」と明らかにした。
 グテレス国連事務総長は22日、報道官を通じた声明で、勧告を実行に移す行動計画を策定すると表明した。調査団を率いるフランスのコロナ前外相はニューヨークで記者会見し、「UNRWAは不可欠な存在だ」と結論付けた。 

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