総合職のみ社宅「間接差別」=全員男性、女性に不利益―AGC子会社に賠償命令・東京地裁 2024年05月13日 15時46分
全員男性の総合職だけに社宅制度を認めるのは男女差別だとして、ガラス大手AGCの子会社AGCグリーンテック(東京)に勤める一般職の女性(44)が会社に損害賠償などを求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。別所卓郎裁判長(瀬田浩久裁判長代読)は、間接的な男女差別に当たると判断し、約370万円の支払いを命じた。
2007年に施行された改正男女雇用機会均等法は、女性に満たしにくい要件を課して、実質的に女性を排除する「間接差別」を禁じている。
判決によると、同社の総合職は20年時点で男性20人、一般職は6人中5人が女性で、総合職にのみ社宅制度の利用が認められていた。
別所裁判長は、性別によって取り扱いに差を設ける直接的な男女差別には当たらないとしつつ、「事実上男性のみに適用される福利厚生措置で、女性に不利益を与えたことに合理的理由はない」と指摘。経済的恩恵の格差はかなり大きく、間接差別に当たると認め、そうした措置を漫然と続けたのは違法と結論付けた。
原告の女性は記者会見で「待ちに待った答えを頂けた」と判決を歓迎し、「女性がもっと意見を言えて能力を発揮できる、差別のない職場にしてほしい」と訴えた。代理人の平井康太弁護士は「間接差別を認めたのは国内では初めてだと思われ、画期的だ」と評価した。
AGCグリーンテックの話 判決文を受け取っておらず、コメントは差し控える。