アメリカンドリーム象徴=39歳、反トランプから「忠臣」へ―バンス氏、したたかな一面 2024年07月18日 15時03分

バンス米上院議員(右)と話すトランプ前大統領の長男ジュニア氏(中央)=16日、中西部ウィスコンシン州ミルウォーキー(AFP時事)
バンス米上院議員(右)と話すトランプ前大統領の長男ジュニア氏(中央)=16日、中西部ウィスコンシン州ミルウォーキー(AFP時事)

 【ミルウォーキー時事】米共和党の副大統領候補の指名受諾演説を17日に行ったバンス上院議員は、中西部オハイオ州の貧困家庭に育ち、政界進出からわずか1年半で華々しい出世を果たした。「最強のアメリカンドリーム」(ウーシャ夫人)を体現した39歳は、時流に合わせ主義主張を変えてきたしたたかさも併せ持つ。
 「今夜ここに立つとは想像もしなかった」。ウーシャ夫人に紹介され登壇したバンス氏は胸に手を当て、感慨深げに語った。
 故郷のオハイオ州ミドルタウンを「ワシントンの支配階級に見捨てられた町」と呼ぶバンス氏。薬物依存に苦しむ母に代わり、厳格な祖母が人生の羅針盤となった。白人労働者の悲哀を描く自叙伝「ヒルビリー・エレジー」は、2016年大統領選の「トランプ旋風」の解説書ともてはやされた。だが本人は当時、トランプ氏を「有害で、白人労働者を暗い場所へ導く」と非難していた。
 トランプ氏との初顔合わせは21年2月。翌年の上院議員選を目指すバンス氏にトランプ氏の長男ジュニア氏が目を付け、引き合わせた。「君は私に随分ひどいことを言ったな」。警戒感を抱くトランプ氏にバンス氏は、「メディアのうそを信じてしまった」と謝罪。トランプ氏は自身の岩盤支持層を象徴し、若く弁も立つバンス氏を気に入った。
 初当選を果たすと、トランプ派の若手筆頭格に台頭。トランプ氏の過激な発言が批判されるたび、積極的にメディア出演して擁護した。17日の演説では、グローバリゼーションがもたらした雇用流出への憎しみもにじませ、「復讐(ふくしゅう)」をテーマに掲げるトランプ氏と歩調を合わせた。
 バンス氏の起用を共和党支持層は歓迎する。党大会に出席した退役軍人のヤング・メイベリーさん(70)は「草の根を代表する人選だ」と話し、団体職員クリスティー・スレイプさん(51)も「彼は保守の闘士」と支持した。
 一方、民主党は、トランプ氏とバンス氏のコンビは強権志向だと攻撃を強めている。対決相手となるハリス副大統領はバンス氏をトランプ氏の「イエスマン」と断じた。 

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