国会混乱、波乱の船出=頼清徳総統、20日就任―台湾 2024年05月18日 14時09分

台湾の頼清徳次期総統=15日、台北(AFP時事)
台湾の頼清徳次期総統=15日、台北(AFP時事)

 【台北時事】1月の台湾総統選で当選した与党・民進党の頼清徳副総統(64)が20日、総統に就任する。同一政党が3期連続で政権を担うのは、直接選挙が導入された1996年以降で初めて。ただ、立法院(国会)では少数与党のため、厳しい政権運営を強いられるのは必至。17日には過半数の議席を握る野党勢力が強行採決を図ったことをきっかけに立法院で激しい乱闘が起きており、波乱の船出となる。
 20日の就任演説は、中国の習近平政権が「統一」を目指し台湾に圧力を強める中、頼氏が対中政策にどう言及するかが最大の焦点となる。頼氏は、統一も独立も唱えない蔡英文総統の「現状維持」路線を継承する考えを重ねて示してきた。就任演説では、中国との対話に意欲を示す一方で、日米など民主主義国と協力して台湾海峡の平和と安定を維持する決意を表明する見通しだ。
 しかし、頼政権の行く手には強力な野党が立ちはだかる。総統選と同時に行われた立法委員(国会議員)選で、対中関係を重視する最大野党・国民党が第1党の座を民進党から奪った。2月に開会した立法院は、院長(議長)に国民党の中でも特に中国寄りとされる韓国瑜・前高雄市長を選出。立法院の運営は野党主導となっている。
 17日の乱闘騒ぎは、国民党と第3党・民衆党が共同提出した立法院改革関連5法案の審議中に起きた。同法案は、調査権の拡大をはじめとする立法院の機能強化を目的としている。民進党は、野党議員の権限を強めることが真の狙いとみて、「憲法違反の権力乱用だ」と反対を表明。野党側は17日に採決を強行する方針だったが、与野党議員が衝突し6人が病院に搬送される事態が発生。採決は21日以降に持ち越されたものの、民進党が阻止する道筋は見えていない。 

海外経済ニュース