暴動にアゼルバイジャンの影=反仏組織に独立派招く―ニューカレドニア 2024年05月19日 08時20分
南太平洋のフランス領ニューカレドニアの暴動を巡り、仏政府は旧ソ連構成国アゼルバイジャンが独立派勢力の抗議行動をあおったと非難した。アゼルバイジャンは「反植民地主義」を掲げる非同盟諸国で影響力を拡大。一方、領土問題で対立したアルメニアの後ろ盾フランスの外交官を追放するなど、関係の険悪化が背景にあるとされる。
アゼルバイジャンは「事実無根」(外務省)と関与を否定している。ニューカレドニアに在外公館は持っておらず、独立派勢力への資金提供も確認されていない。
アゼルバイジャンは非同盟諸国に2011年に参加。19年に議長国として首脳会議を首都バクーで開催した。昨年には「フランスの植民地主義に反対」と訴える組織「バクー・イニシアチブ・グループ」を立ち上げ、アフリカ諸国だけでなく、ニューカレドニアの独立派勢力も招いた。
今年4月、ニューカレドニア議会との間で「覚書」に署名。独立派勢力は協力に謝意を示した上で「抗議行動でアゼルバイジャン国旗が翻っている」と認めていた。
今回の暴動でも青赤緑3色のアゼルバイジャン国旗を掲揚した写真がメディアやSNSで流れ、フランスの怒りを買ったとされる。独立派勢力が掲げる旗も青赤緑を基調としており、アゼルバイジャンが関与している印象が強まった可能性がありそうだ。
暴動を受け、ロシアの政権系メディアは「アゼルバイジャンが(フランスの)弱点を見つけた」と報道。単なる批判から抗議行動による圧力にエスカレートさせたという見方を伝えた。
アゼルバイジャンは昨年9月、係争地ナゴルノカラバフを支配してきたアルメニア系勢力を軍事作戦で降伏に追い込み、領土奪還を果たした。フランスは仲介国の一角だが、国内にアルメニア系住民を多く抱える。アルメニアへの軍事支援に動くなど中立を保っていないとして、アゼルバイジャンのアリエフ大統領が問題視してきた。