大統領乗ったヘリ、激しく衝突か=事故現場、木々が黒焦げ―イラン 2024年05月20日 15時51分

19日、アゼルバイジャンとの国境地帯で、同国と共同で建設したダムの完成式典を前にしたイランのライシ大統領(中央)=同国大統領府提供(AFP時事)
19日、アゼルバイジャンとの国境地帯で、同国と共同で建設したダムの完成式典を前にしたイランのライシ大統領(中央)=同国大統領府提供(AFP時事)

 【イスタンブール時事】イランのライシ大統領らが死亡したヘリコプター事故の現場は、険しい山間部だった。上空からのドローン映像には、緑が映える標高約2500メートル地点とされる森林地帯に黒く焦げた場所が広がり、ヘリ残骸とみられる白い物体が残る。機体が激しく衝突した様子がうかがえる。
 雨や濃霧の中で捜索活動は困難を極め、20日の機体発見時は事故から既に半日以上が経過。災害当局者は国営通信に、搭乗者の1人は遺体の状況から、墜落後1時間程度は生存し、大統領府関係者に電話していた可能性があると語った。イラン政府の20日の緊急閣議では、ライシ師が普段座る席に黒い布が掛けられ、国営メディアは「勤勉な大統領は偉大な国民に仕え、国のために命を犠牲にした」と弔意を示した。
 イランのメディアは、アゼルバイジャン国境地帯から飛行していたヘリ3機のうち、事故機を除く2機は無事に目的地へ着いたと伝えており、ライシ師らが乗ったヘリだけが不測の事態に見舞われたことになる。中東情勢が緊迫化し、イスラエルとの対立局面が続くさなかだけに、SNSでは暗殺説など真偽不明の「陰謀論」も飛び交っている。
 ヘリは1979年のイラン・イスラム革命前に購入された米国製だったとされる。機体と事故の関係は不明だが、イランでは欧米の経済制裁の影響で新型航空機や旧型の修理部品などの調達が難しく、航空機やヘリの安全性は常に懸念されていた。 

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