中台双方に自制要請=ウクライナ・中東危機に傾注―米 2024年05月20日 15時59分
【ワシントン時事】バイデン米政権は、台湾の頼清徳新総統との連携を深めつつ、台湾海峡の平和と安定の維持を目指す。ロシアのウクライナ侵攻と中東危機への対処を迫られている米国にとって、台湾有事の発生はもっとも避けたい事態で、中国と台湾双方に自制を求めていく方針だ。
ブリンケン米国務長官は頼氏就任を受けて声明を出し、「民主主義の力強さを再び示した」と台湾市民に祝意を表した。その上で、米台は「貿易や経済、文化、人的交流のつながりを広げ、深め続けていく」と述べ、頼政権と協力する考えを強調した。
米政府は20日の総統就任式に、アーミテージ元国務副長官らで構成する非公式代表団を派遣した。米高官は過去の就任式でも同様の代表団を訪台させており、「長く続く慣例だ」と説明。軍事的な圧力強化の口実としないよう中国にくぎを刺した。
台湾周辺での緊張を管理したいバイデン政権には、過去に「台湾独立工作者」を自称した頼氏への不信感もある。米高官は頼氏側と就任演説の内容について調整したと明らかにし、「米国は現状変更を望んでいない」と改めて表明した。
米側は、頼政権に穏便な対中路線を取らせ、中国に台湾との関係安定化を促す「材料」にしたい考えだ。ただ、11月の米大統領選では対中強硬姿勢を隠さないトランプ前大統領が返り咲く可能性がある。予測が難しいトランプ政権の再登場は、台湾海峡情勢の不安定化を招く危険をはらんでいる。