大統領ヘリ墜落で対米批判=「制裁の影響」ロシアも加勢―イラン 2024年05月22日 14時19分
【イスタンブール時事】イラン北西部でライシ大統領やアブドラヒアン外相ら搭乗者全員が死亡したヘリコプター墜落を巡り、イランでは米国による経済制裁が原因だと批判する声が出ている。一方、米国は「45年が過ぎたヘリを飛ばすと決めたイラン政府の責任だ」と一蹴している。
国際融和路線を進め、欧米などと核合意を締結した保守穏健派ロウハニ政権(2013~21年)下で外相を務めたザリフ氏は20日、国営メディアに対し、米国が科している対イラン制裁でヘリや航空機の安全な航行に不可欠な部品が調達できないと指摘し、「墜落の原因の一つは米国にある」と非難した。
ライシ師らが乗ったのは1960年代に開発された米国製の双発ヘリで、79年のイスラム革命前に購入した旧型とみられる。2015年の核合意で航空機に関する制裁も一部緩和されたが、トランプ前米政権が18年に合意から離脱して制裁が復活。今回の墜落との関連性は不明だが、イランでは制裁の影響で新型航空機や旧型の修理部品などの調達が困難になっている。
イラン側は墜落の原因は「悪天候」(バヒディ内相)と主張。ただ、国営メディアは「技術的な欠陥があった」と伝えており、軍専門家などが原因究明への調査を始めた。
ロイター通信によると、ロシアのラブロフ外相も21日、「米国が制裁を発表した国は、航空機を含めて米国機材の予備部品を入手できない」と主張。「こうした機材を使う一般市民へ故意に危害を加えている。予備が提供されないならば安全性の低下を招く」と米国の責任を追及した。
制裁との関係を問われた米国務省のミラー報道官は20日、イランが航空機を使ってテロ支援物資を運んできたとして、制裁履行の継続を明言。「われわれの制裁を謝罪するつもりはない」と反論した。