99歳元収容所事務員に有罪=「最後のナチス裁判」―独 2024年08月20日 21時24分

博物館となったポーランドのシュツットホーフ強制収容所=2020年7月、北部シュツトボ(AFP時事)
博物館となったポーランドのシュツットホーフ強制収容所=2020年7月、北部シュツトボ(AFP時事)

 【ベルリン時事】ドイツ連邦裁判所は20日、ナチス・ドイツの強制収容所に事務員として勤務していたことから殺人ほう助罪に問われ、地裁で有罪判決を受けた女(99)の控訴を棄却した。1万人余りの殺害に加担したとして、2年の禁錮刑を下した地裁判決が確定。女は当時18~19歳の未成年だったため、執行猶予が付いた。ナチス犯罪の当事者は高齢のため公判が難しく、今回が「最後のナチス裁判」になる可能性がある。
 確定判決によると、イルムガルト・フルヒナー被告は1943年6月~45年4月、ポーランド北部シュツットホーフ収容所の所長室で唯一の速記係として勤務。業務を通じてガス室での殺害やアウシュビッツ収容所への移送を助け、ユダヤ人など1万505人の殺人と、5人の殺人未遂をほう助した。
 弁護側は、被告が収容所の実態を知っていたか証明できていないなどと主張。しかし連邦裁は「従順な部下として、所長らを心理的にも支えた。その働きは官僚的な組織運営にとって極めて重要だった」と結論付けた。収容所の事務員に対する初の有罪判決だった。 

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