中国核弾頭、1年で100発増=「新たな軍拡競争」警告―国際平和研 2025年06月16日 09時15分

ロシアの対ドイツ戦勝記念日の軍事パレードに登場した大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ヤルス」=2024年5月9日、モスクワ(EPA時事)
ロシアの対ドイツ戦勝記念日の軍事パレードに登場した大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ヤルス」=2024年5月9日、モスクワ(EPA時事)

 【ロンドン、北京時事】スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は16日、世界の軍備や軍縮に関する年次報告書を公表した。中国が保有する核弾頭数は1年間で100発増の計600発となり、報告書は「どの国よりも増加ペースが速い」と指摘。核兵器の近代化と新規備蓄により、各国の間で「危険な核軍備競争が新たに始まりつつある」と警告した。
 今年1月時点の世界の核弾頭総数は、米ロ英仏中にインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮を加えた9カ国で推計1万2241発。前年から160発ほど減った。配備中は3912発で、うち約2100発が「高度作戦警戒態勢」。配備中の弾頭は米ロが大半を保有しているが、中国もミサイルに複数配備しているとされる。
 中国外務省の郭嘉昆副報道局長は16日の記者会見で「中国は核戦力を国家の安全に必要な最低水準に保っている。いかなる状況でも核兵器の先制不使用を堅持する」と主張した。
 米ロが冷戦後、老朽化した核兵器を廃棄したため、核弾頭の総数自体は減少傾向が続いている。しかし、近年は廃棄のペースが鈍り、新規配備が加速していると報告書は指摘。既存兵器の機能強化や改良型の開発など近代化も進んでおり、減少傾向は数年後に「反転」する見込みという。
 SIPRI大量破壊兵器部のハンス・クリステンセン準上級研究員は「冷戦後に続いた核兵器減少の時代は終わりに近づき、代わりに備蓄数の増大や軍縮協定の放棄といった動きが強まる」と予測した。 

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