トランプ氏「包括和平」に軸足=ロシアは東部2州放棄要求―米ウクライナ首脳会談へ 2025年08月17日 10時44分

(左から)トランプ米大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領、ロシアのプーチン大統領(AFP時事)
(左から)トランプ米大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領、ロシアのプーチン大統領(AFP時事)

 【ワシントン時事】米欧メディアは16日、ロシアのプーチン大統領が15日のトランプ米大統領との会談で、ウクライナ侵略終結の条件として同国の東部2州の放棄を要求したと報じた。トランプ氏は会談を経て、ロシア軍の占領地域の扱いやウクライナへの「安全の保証」といった諸課題を包括的に解決する和平合意を目指す方針に転換。和平に先立ち全土での戦闘停止が必要だとする同国のゼレンスキー大統領と18日に会談する。
 ワシントンでの米ウクライナ首脳会談には、メルツ独首相ら欧州首脳も同席する。停戦を飛び越え一気に和平を実現させようというトランプ氏の姿勢は、ゼレンスキー氏や欧州首脳の立場を離れてロシアに同調する劇的な路線変更と見なされており、米国とウクライナ・欧州の溝が露呈する可能性もある。トランプ氏は1週間以内に米ロ・ウクライナの3カ国首脳会談にこぎ着けたい意向とされる。
 英紙フィナンシャル・タイムズなどによると、プーチン氏は米アラスカ州でトランプ氏と会談した際、ウクライナ軍の東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)からの全面撤退を要求。引き換えに、他の地域では現状の前線で戦闘を停止すると語った。以降、ウクライナやいかなる欧州の国も攻撃しないと文書で確約する方針も伝えた。
 両氏はまた、ロシアが敵視する北大西洋条約機構(NATO)が関与しない形での安全の保証などを話し合った。プーチン氏は欧州各国軍で構成する部隊のウクライナ駐留を受け入れる姿勢を示したという。
 トランプ氏は会談後、米テレビのインタビューで「決着を図れるかどうかはゼレンスキー氏次第だ」と主張。さらに同氏や欧州首脳と電話会談し、停戦取り付けの試みを断念するよう促した。SNSにも「戦争を終わらせる最善の方法は単なる停戦合意ではなく、和平合意に直接進むことだと全員が判断した」と投稿した。
 ウクライナや欧州各国がトランプ氏の考えに同意した証拠はない。ゼレンスキー氏は東部2州の放棄は不可能だとトランプ氏に伝えたという。 

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15日、米アラスカ州アンカレジで、ロシアのプーチン大統領との共同記者発表に臨むトランプ大統領(AFP時事)
15日、米アラスカ州アンカレジで、ロシアのプーチン大統領との共同記者発表に臨むトランプ大統領(AFP時事)

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