パリ航空ショーが開幕=防衛分野に勢い、水素機展示も 2025年06月16日 16時18分

【ルブルジェ(フランス)時事】隔年で開催される世界最大規模の航空見本市、パリ国際航空ショーが16日、フランスの首都パリ近郊のルブルジェで開幕した。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化などを反映し、防衛分野の出展に勢いが見られる。脱炭素化の期待を担う水素航空機も展示された。
見本市は55回目で、70ヘクタール(東京ドーム約15個分)のスペースに世界50カ国近くから約2400社が出展。22日の閉幕までに150超の旅客機や戦闘機を展示し、30万人の来場が見込まれている。
欧州連合(EU)は今春、ウクライナ支援や欧州防衛に消極的なトランプ米政権の発足を受け、8000億ユーロ(約133兆円)規模の「再軍備計画」で合意した。加盟各国による装備品の調達増加をにらみ、見本市ではドローンなど軍事関連の出展が目立つ。
一方、地元フランスの新興企業「ブルー・スピリット・エアロ」は、水素と酸素の化学反応で発電するクリーンな「燃料電池」を使ってプロペラを回す4人乗りの小型機「ドラゴンフライ」(トンボの意味)を展示した。
両翼に計12基のモーターとプロペラを搭載。約3時間、700キロの飛行が可能な設計だ。年末から来年初頭に初の試験飛行を行い、2028年ごろの商用化を目指す。
世界の航空業界は、二酸化炭素(CO2)排出量を50年までに実質ゼロにする目標を掲げる。水素機開発のほか、廃食油などを主原料に製造する「持続可能な航空燃料(SAF)」の普及に力を入れている。
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