米最高裁が上訴受理=相互関税違法判断で 2025年09月10日 08時28分

【ワシントン時事】トランプ米政権による相互関税が違法と判断された訴訟で、連邦最高裁は9日、政権側の上訴を受理した。迅速に審理を進める訴えも認めた。最高裁の判断が示されるまで、発動済みの関税が効力を持つことになる。
口頭弁論は11月初旬に開かれる。連邦巡回区控訴裁判所は8月、一審を支持して相互関税などが違法だと判断。これを不服とした米政権は9月に入り最高裁に上訴していた。
対象となっているのは、大統領に安全保障上の脅威に対処する権限を与える国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置。相互関税のほか、合成麻薬「フェンタニル」の流入を理由としたメキシコ、カナダ、中国への関税だ。
控訴裁はIEEPAが「大統領に相互関税などを課す幅広い権限を与えていない」とする見解を示した。ただ、政権側が最高裁に上訴すれば、判決まで関税の徴収を認めていた。一審では「大統領の権限を越えている」として違法の判断が示された。
最高裁は現在、9人の判事のうち6人が保守派で占められており、政権の看板政策への判断が注目される。トランプ大統領は最高裁が誤った判断をすれば既に巨額の関税収入を得ている米国が打撃を受けると指摘。「著しく党派的な控訴裁が誤って関税が撤廃されるべきだと判断した」などと反発していた。
トランプ氏は最高裁で敗訴した場合、日本などとの貿易交渉の合意を「解消しなければならないだろう」とも語っている。