全国民に最大5万円消費券=景気対策で李在明政権―韓国 2025年07月22日 18時38分

【ソウル時事】韓国の李在明政権は低迷する景気の回復を狙い、国民1人当たり最大55万ウォン(約5万8000円)の「消費クーポン」の配布を開始した。世論の評価は高く、62%の支持率を誇る李大統領の人気を下支えしている。
消費クーポンは、6月の大統領選で李氏が公約に掲げていた。額は1人最低15万ウォン(約1万6000円)。商品券や電子マネーで支給し、低所得者や地方居住者には上積みする。地域経済の活性化のため、使用対象を商店街の飲食店や小型スーパーなどに絞る一方、百貨店や大型スーパーを対象外にした。
韓国経済は、昨年12月の尹錫悦前大統領による「非常戒厳」宣言の影響で消費が冷え込み、トランプ米政権の高関税政策によって打撃を受けている。李政権は内需を刺激するため、発足から1カ月後の今月4日に消費クーポン関連経費12兆ウォン(約1兆3000億円)を含む補正予算を国会で成立させた。
李氏は京畿道知事時代に新型コロナウイルス感染症による経済危機を克服する目的で、道民1人当たり10万ウォン(約1万円)を支給し支持を集めた経験がある。李氏は22日の閣議で「『消費クーポンで、高くて買えなかったスイカを買ってみよう。子どもたちに肉を食べさせよう』という声が聞こえる。大衆の生活とはこういうものだ」と、国民生活への配慮を強調した。
世論調査機関「リアルメーター」の調査によると、回答者の63%が消費クーポンの配布を支持している。ただ、国会で予算の分析や評価を行う予算政策室の推計では、国内総生産(GDP)の引き上げ効果は最大で0.32%にとどまる。保守系最大野党「国民の力」は「ポピュリズムのばらまきだ」と批判している。