ROE改善に期待
野村アセットマネジメント・チーフ・ストラテジスト石黒英之氏 2025年10月02日 14時26分

 現在物色されている日本株の中心は割安なバリュー株だ。東証の市場改革などを背景に、将来変貌を遂げる可能性から、自己資本利益率(ROE)や株価純資産倍率(PBR)が低い株式への買いが先行している。これまで日本企業はROEが低かっただけに、改善への期待は高い。
 ROEの持続的な拡大には株主還元、事業再編、研究開発の三つが必要だ。株主還元の水準は及第点だが、残り二つは改善の余地がある。事業再編に踏み切る企業は大手が大半で、広がりを欠く。リスクを負って研究開発に投資する経営者も少ない。しかし、この三つを着実に実行してきた企業は、利益も株価も伸びている。企業が株価上昇を意識することで良い方向に変わると期待したい。
 今後1年で日経平均株価のROEが10%を超えると仮定し、PBRの適正水準や1株当たり純資産(BPS)の伸びを加味すると、日経平均は5万7000円まで上昇する可能性がある。

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